錬金術師の失敗
発展途上の技術を、大規模に運用することは危険を伴う。
当たり前すぎることではあるが、数度の危機を経てなお生かされなかった教訓だった。
ニューワールドで起きていた土壌汚染の原因が、錬金術師の活動にあることを知って、藩王を始め、政府職員、国中の名士が集められ、徹夜で原因究明が行われた。
暗黒の瘴気が満ちる汚染された国土に残ること自体が死を覚悟する必要のある状況で、(クーリンガンの襲撃以来行方不明であった海法ゆかりをのぞき)、皆が国に残っており、一人も欠けず集まったことに、国王以下、政府職員は大いに感謝した。
満足な防御設備もない状況で、放置された錬金術工房のビーカーや薬品を検証し、ようやく原因が判明した。
錬金術に含まれていた霊体に有害な成分が、繁茂の影響を受けたマンイーターウイルスと共に各地の土壌を汚染したのだ。
それによる被害はニューワールド、共和国を危うく破壊するところだったが、かろうじて、後藤亜細亜の冒険と、様々な人々の努力によって防がれた。