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仮設病院・設定文1 †

海法よけ藩国は共和国でも有数の大国であったが、全くもって裕福ではなかった。
資金が入っても、すぐに景気よく使ってしまうためである。
王宮の金庫はいつでも空に近かったが、人々はそれでも笑っていた。
皆よけ藩国の気風を愛していたからだ。

だが、あるとき暗雲がたちこめる。
幾つもの苦難を乗り越えてようやく一息つけそうな時に、事件が起こったのだった。
世に言う、舌禍事件である。

人々は落胆し、国を捨てた。移民として、西に。
帝国に向かったのだった。

海法藩王の決断は早く、すぐさま王宮を出て民を追った。
王座に
『国とは土地のことではない、民こそ国なのだ。僕は国をこそ守る』
そう、書き残して。

苦難の道を進まざるを得なかった民達は、やりばの無い怒りを同行した王とその婚約者に向けたが、王は民には怒らなかった。
不条理に身を震わせはしたが、怒りの矛先を誤るような事はしなかったのである。

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Last-modified: 2011-05-21 (土) 06:22:40 (4859d)