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※作成中。


-病院建設までの経緯
この仮設病院は、王の英断によって建設された。
「全ては民のために」という言葉と共に。

海法よけ藩国は共和国でも有数の大国であったが、全くもって裕福ではなかった。
資金が入っても、すぐに景気よく使ってしまうためである。
王宮の金庫はいつでも空に近かったが、人々はそれでも笑っていた。
皆よけ藩国の気風を愛していたからだ。

だが、あるとき暗雲がたちこめる。
幾つもの苦難を乗り越えてようやく一息つけそうな時に、事件が起こったのだった。
世に言う、舌禍事件である。

人々は落胆し、国を捨てた。移民として、西に。
帝国に向かったのだった。

海法藩王の決断は早く、すぐさま王宮を出て民を追った。
王座に
『国とは土地のことではない、民こそ国なのだ。僕は国をこそ守る』
そう、書き残して。

苦難の道を進まざるを得なかった民達は、やりばの無い怒りを同行した王とその婚約者に向けたが、王は民には怒らなかった。
不条理に身を震わせはしたが、怒りの矛先を誤るような事はしなかったのである。

 そして国境付近。帝国への門は、閉ざされていた。
各地から集まってきた難民達は望みを失い、悲嘆に暮れていた。
  帝国だけが、民に残された希望だったのに。

  人々は僅かな食料を奪い合い、夜露をしのぐ屋根もなく、しかし、今更何処にも行けなかった。
  衣食住の総てが足りず、怪我をしても医師が足りない。
人心は、荒れた。

  これに心を痛めたのが海法藩王である。心を痛めた人は多かったが、よけ藩国では王こそが一番心を痛めていた。
早速瞑想通信で国元に残った臣と連絡をとり、その日の夜には仮設病院の購入を決定した。
国庫は空になり、ターン11の参加税は臣の個人マイルを充てる事になった。
(勿論、都合がつき次第返却する予定である)
だが、臣の誰一人として文句をいう者は居なかった。
幾人もが、進んでマイルを差し出した。
皆が王に賛同し、王を支えようとしていたのだった。


  次の日から、続々と国境付近にトラックがやって来た。
テキパキと木製のプレハブを建て、忙しそうに去っていく。
それはお世辞にも立派とは呼べないが、間違いなく病院だった。
  真新しい木の香りからは、業者の努力と誇りと思い遣りが感じとられる。
業者も、悲劇を減らそうと努力していた

業者も、悲劇を減らそうと努力していたのだった。

  そして王は、利用者をよけ藩の民に限らず、誰もが使えるように手配した。

「全ては民のために」
  この病院は、王の英断と、それを支える沢山の人間の努力によって建てられた。



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