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L:街灯 = { 
 t:名称 = 街灯(施設) 
 t:要点 = 街灯,夜道,散歩する人 
 t:周辺環境 = 設置された国 
 t:評価 = 治安維持能力1 住みやすさ0 
 t:特殊 = { 
  *街灯の施設カテゴリ = 国家施設として扱う。 
  *街灯の設置 = 街灯は一箇所に設置する。 
  *街灯の床面積 = 10m2とする。 
  *街灯の構造 = 1階建てまで。 
  *街灯の特殊効果1 = 交番,警察署,消防署の治安維持能力を、街灯1つ、対応施設1軒につき+1する。 
 } 
 t:→次のアイドレス = 恋人達の並木道(施設),緑の公園(施設),ライトアップ(イベント),心の灯火(絶技) 
 } 

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その女性は、深い森の中を、借り物の避けライダーを駆って進んでいた。
子供の着替えと家族の写真が詰め込まれた鞍袋が、避けライダーの駆けるリズムに合わせて彼女のふくらはぎをぐいぐいと押してくる。
彼女は、木々の間からのぞく月がない暗い夜空を見上げると、鳥の速度を少し上げた。

荒れた森が回復したのもつかの間、まだ疲弊していた中に吹き寄せたきなくさい戦争の噂に国全体が動揺し、ちょっとのきっかけであっけなく、あっという間に人々は家を捨て、国境へと我勝ちにと向かった。
彼女の近所の人々は、勿論彼女の家族を誘ったが、一人息子が熱を出しており、あてどのない旅になど到底動かせる状態ではなかった。
そして、息子の熱が下がる頃には、周りにはもう誰もいなかった。

息子を連れ、情報を求めて街へ向かうと、政庁やその周辺にはまだ人が残っていた。
状況を立て直すべく盟友を頼って国を離れた王の留守を守る決意を固めた役人達や、彼女のような動けない人々のための医者や看護士達、頑固に塔を離れない星見司達。その彼らを支えようと共に残った家族達。
そして、秘密戦艦をメンテナンスしている整備士達は、再びここを避難民達の居住に提供すべく、忙しく立ち働いていた。
女性は暖かく迎え入れられて戦艦の中の一室に通され、息子は優しい看護士の腕の中で笑顔を見せた。

しかし、とるものとりあえず家を飛び出したので、身の回りのもの、とくに衣服が欲しい。
そこで、政庁用の避けライダーを借りて、何日かぶりに家へと帰ったのだが、だめになった食糧を始末したり、家畜を放してやったり色々しているうちにすっかり日が暮れてしまい、人気のない森の中を気がせきながら戻るところであった。

避けライダーの首から提げたランタンの光が、弱々しく揺れながら暗闇の中の細い道を不規則に照らす。
ここからしばらく、昼間とて陽の光もほとんど差さぬほど深い樹々の間を行かねばならない。
たちの悪いごろつきどもも、うろつきはじめたらしいという話を思い出し、女性は手綱を強く握りしめた。

だが、驚いたことに、目の前の道がほのかに明るいではないか。
いぶかりながら進んでいき、その正体に女性は小さな声を上げた。

ぽつり、ぽつりと、道の両側に街灯が灯っている。

表面を処理する暇も惜しんだらしく、ごつごつと節が残る木柱の上に、柔らかな暖かい灯りが道を小さく、しかししっかり照らしている。

来るときは気がつかなかった。いや、もしかしたら彼女が家に戻っている短い時間に、あわてて設置されたのかも知れない。

明日をも知れぬ中で、誰かが、こんな奥深い森の中にまで柱を運び入れ、電線を引いていったのだ。
誰かが誰かのために心を砕いている。
街灯だけじゃない。みんなのために電気を絶やすまいと、誰かがどこかで発電所を守っている。

(まだ、大丈夫。まだ、私たちはがんばれる)

女性は、胸に暖かく灯った希望に顔を輝かせ、ほの明るい道を進んでいった。


#ref(http://nyan2.amatukami.com/bbs/data/2366.jpg)
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文、絵:森沢

&tag(アイドレス,街灯);


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