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 ※これは、施設として区分するために[[高位森国人]]からピックアップした物である。

(青にして紺碧)

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【避け森キング】(周辺環境:森の王宮/青にして紺碧)

“避け森キング”。
よけ藩国の住民たちは、畏敬を込めて、その木をこう呼んでいる。
てっぺんに王宮らしきものが乗っかって、しかもそこらの木より全然高い。
だったら避け森の王、キングでいいんじゃね?
そこからついた名前である。

始まりはこうだった。
よけ藩国国王・海法紀光が功により侯爵に叙されてから数日後。

そいつは、突然、よけ藩国の城のそばに、生えた。

いや、生えたなんていう生易しいもんじゃない。

一夜明けたら、城のそばの、ほとんど空き地がない場所にどっかりと現れていたのだ。
しかも、樹上には王宮らしきものが備わっている。
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(高位森国人周辺環境:森の中の王宮、こと避け森キング/絵:黒崎克哉)
&ref(http://nyan2.amatukami.com/bbs/data/1311.jpg);
(高位森国人周辺環境:森の中の王宮、こと避け森キング/絵:黒崎克哉)

“こんなどでかいもんが、いったいどこから?だれが?どうやって?”

国民たちは、最初こそものめずらしがっていたものの、そもそも難問を避けるお国柄。すぐに議論するのをやめてしまった。

ところがどっこい。
議論するのをやめるわけにいかないのが政庁のお歴々。そりゃそうだ、城のすぐそばにこんなでかいものが、しかも建物つきで生えているのだ。放置しておくわけにも行くまいと、調査隊が送られることになった。

調査隊に選ばれたのは、帽子猫、森沢、黒崎の名医3名(当時)。

「えー!どうして私たちが行かなくちゃいけないんですか?調査隊なんていう名誉よりも、休日をください、休日を!」

とは森沢の反論。なるほど、正論である。

「非番で、なおかつ高所恐怖症じゃない人が、君たち3人しかいないんだよねぇ」

摂政:嘉納の返答はこうであった。
実はこの嘉納、自分が真っ先に登りたかったのだが、吏族:青にして紺碧(当時)により「政に支障が出るようでは困ります。おやめください。そんなことする暇があったらこの書類に決済印を!」

ということで、引き止められたのである。


しぶしぶ、調査隊は調査を開始した。といってもそもそも彼らの得意分野は人間を見ることであり、木の構造がどうこうなんて知ったこっちゃない。てきとーにしらべて、てきとーに帰ることにした。

「この木、中が空洞になってるね……」
「ねぇねぇ、ちゃんと扉がついていて、中が部屋になってるよ。それがいくつもいくつもある」
「なんというか…アパートとか、マンションみたいなもの?」
「なんだか、この木の中にみんなで住めそうね」
「こっちの大きな部屋は……体育館というか、ホールみたいだね」

3人は見聞きしたものをつき合わせ、「木の部分は居住エリアとして使用可能」という結論を出した。

さて、今度は樹上の王宮(仮)部分である。どうやってあの部分にたどり着けばいいというのか。

「おーい!こっちこっち!来て来て~、ほらこれ!」

黒崎が少し離れたところで手を振っている。残りの二人が駆け寄ると、そこには。

「これ……もしかして籠?人が乗れる?」
「そう、この籠に乗ると、この巨木の周りを這っている蔓を使って移動できるんだ。エレベーターみたいなものかなぁ」
&ref(http://nyan2.amatukami.com/bbs/data/1344.jpg);
(蔓と籠のエレベーター、略して蔓ベーター/絵:黒崎克哉)
&ref(http://nyan2.amatukami.com/bbs/data/1345.jpg);
(蔓ベーターのアップ/絵:黒崎克哉)

3人はいそいそと籠に乗り込む。
すると籠は勝手に動き出し、上方の建物へと向かった。


「うわぁ……なにこのアラビアの王宮風な建物」

建物の中に入った、3人の感想がこれである。
どう見ても王宮。どこから見ても王宮。誰が作ったのかは知らないが、ちゃんと王宮なのである。内部には謁見の間も、王族専用と思しき寝室も、豪華な食堂も用意されている。

「ねぇ、こっち、見てよ!これってさ……人間用の、カタパルト?」

帽子猫が、思わぬ発見に声を上げる。王宮(仮)の最上階には、この大木の枝を利用したパチンコ……緊急用の脱出機構とでも呼べそうなものが備わっていた。
&ref(http://nyan2.amatukami.com/bbs/data/1347.jpg);
(実際のカタパルト使用例。モデルは海法紀光(ACE)&あおひと。2人の愛の逃避行?に幸あれ/絵:黒崎克哉)

「こっちに、変な機械がある…なるほど、これを使って、打ち出し方向を変更できるみたいね」
「えっとこれは……理力変換装置かな。これで理力を集めれば、より遠くまで打ち出し可能?ほー、へー、面白そうだね。ひょっとして、これを使ったら、後ほねっこあたりまで飛べるんじゃないの?」

3人は何よりもこのカタパルトの発見に大はしゃぎし、急いで政庁に戻った。
報告を聞いた嘉納は、後に戦勝記念パレードでこのカタパルトを盛大に利用し、国王からちょっとだけお目玉をもらったという。

その後、この“避け森キング”はしばらく放置されていたのだが、高位森国人の登場に伴い、正規の王宮として使用されることとなった。

もっとも、王宮の主であるはずの国王は、よくここから脱出するため、あまり王宮としての役目を果たしていないが。

そしてあいかわらず、誰が、どうやって、こんなものを用意していたのか。依然として謎の部分は国民一同から避けられている。
(終わり)
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