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*雷鳥号 [#q9f4f73d]

**≪序文≫ [#n6557721]

技士A「ずいぶんと時間が掛かりましたね」
技士B「そりゃまぁ、凝り性の人がいてなぁ……」
技士A「はははははは……」
技士B「お前の事だ!!」

 整備日誌・完成時に殴りあった二名の言葉

**開発の経緯 [#l935e4b2]

雷鳥号
よけ藩国が創造されるよりもずっとずっと前。
遙か昔から存在を知られていたその機体は、世界の様々な危機に活躍して様々な物語を奏でてきた、まごうことなき名機。

アプローで破損した機体の修理と再設計を任された、よけ藩国エンジニアは悩みに悩み抜いた。
徹夜の末にあがってくる設計書・試作部品は、次々とはかなくもうち捨てられ、倉庫の隅の方に押しやられてやがてうずたかく山を成した。
武器、関節、装甲等、各構成ごとに分かれた担当部門の、部門内で、部門長同士で、昼夜を問わず果てしなく議論が戦わされた。
はては医者や魔法使い、星見司といった部外者達まで次々とまきこまれ、それぞれの知恵を絞り尽くして何ヶ月も検討を重ねたあげく、ようやく全体の骨子が固まって本製作に動き出したのである。

''要約:いろいろ大変でした''

**コンセプト ~謙虚な技術~ [#b258dd9d]

ターン10における、かのものの出現は、それまで未知のテクノロジーの開発に全力を傾けていたアイドレス各国に冷水を浴びせた。
雷鳥号も例外ではない。

解析不能なブラックボックスを多数持つ雷鳥号に関して一時期封印の声さえ出たが、最終的には、「陛下が乗って動かしてた時には大丈夫だったんだから、よけいなことしなければいいんじゃね?」というところに落ち着いた。

現・雷鳥号は、解析できた機能に関して必要最低限を残して運用し、それ以外の部分は封印し、現用技術で補っている。

機体の核となるのは、単独でハイオービットへの遷移を成し遂げる強力なエンジンであり、これを中心に再設計されている。それ以外にも自己修復機能や次元連結武器転移機能などの存在が推定されているが封印中。

武器は持ってゆけばいいし、傷んだら整備すればいいのである。

人は未知を前に謙虚であるべきで、流す汗を惜しんではならない。
それが、よけ藩国の結論だった。

''要約:TLOは怖いけど、納得ゆく仕事をしましょう''

**性能要求 ~避けろ!~ [#sab2ed0c]

改修後の雷鳥号のコンセプトは次の通りである。


1.機動性に特化。
2.地上・空・宇宙において活動できること

どのような空間においても、圧倒的な速度で駆けつけ、人々を助ける。これだけを追求した機体なのである。

機動性に特化しているため、装甲は無く、武装も軽装である。当たらずに接近して倒すという、よけ藩国らしい機体となった。

''要約:当たらないように避けろ!''


**各部説明 [#y1a4dcf2]

◆装甲

機動性優先のため、雷鳥号の装甲は薄い。
実際のところ、機体骨格はカーボンとプラスチック素材で組まれており、その表面をジュラルミンで覆っているだけである。
ジュラルミン装甲はレーザー攻撃に対しての反射を考えた鏡面加工が施されている。(宇宙での熱の問題を解決するための処置でもある)
基本は避け。最低限の破片対処などが前提となっている。

◆ロケットブースター
背面と両足にロケットブースターが配備されている。
背面のブースターが主推進用、両足のブースターが姿勢制御用スラスターである。

◆頭部・レーダー
頭部にRB特有の一つ目レーダーを搭載。
各部に補助レーダーと補助カメラを繋げることで背後からの映像も確認できるようにしてある。

◆頭部・排熱フィン(レーザー乱反射素子兼務)
雷鳥号の頭部にある髪のように見える部分は排熱素子である。
熱伝導率の良い素材を用い、内部で発生した熱を効率よく排熱することを可能としている。
また、頭部から腰までを覆う排熱用フィンは機体の本体をレーザーから守るレーザー乱反射素子としての機能を持っている。

◆武装
独自兵装としてはワイヤーリボンを装備している。
カーボンナノチューブを用いた高分子ワイヤーであり、これを高速振動させることで触れた装甲を滑らかに切り裂くことができる。同時にこれに高圧電流を流すことが可能となっており、触れるだけで相手を電気的にショートさせる仕様となっている。

◆リューンの翼
空を飛ぶ際、メインエンジンから漏れ出るリューンの光が翼のように見える。
雷鳥号は光の翼をもつ鳥として、空を翔るのである。

**みんなの願い [#l5801cb8]

改装された雷鳥号は、現用技術の枠内で兵器としての効率を追求している。だが、幾つかの箇所は、国民達の手で、奇妙な改装が加えられている。
主にコックピット周りである。

**起動キー [#j2f0acf7]

雷鳥号のコクピットは、座席はが2つある副座機体として作られている。
起動キーは2つあり、キーに登録されたマスターのみが雷鳥号を扱う権限を持っており、それ以外の者は扱うことは出来ないとされている。
2人のマスターキー所持者の権限は同等であり、どちらかがどちらの権限を超えること(強制排除等)はできない。
また、マスターはその手を胸郭部にあてるだけで、内側からロックされたコクピットを外からでも開けることができる。
現在、雷鳥号の機動キーは藩王海法とゆかりの両名が保持している。

''要約:悲しいことを繰り返さないために''

**コックピット [#o06290bf]

元の設計から、唯一大幅な改装が加えられたのがコックピット部分である。

装甲が薄い分、コクピットの外殻は国内外の技術を結集して強度を追求した素材と設計となっている。モノコック構造と独立動力を持ち、宇宙空間において救命カプセルとなりうる機能を内蔵している。

雷鳥号を戦闘機動するにあたって問題となるのが強大なGであった。ワイヤーリボンによる格闘機動を行う雷鳥号では、機体の加速が人間の耐久力を越えると考えられた。

それを帳消しにするTLO(次元接続リングとか反重力とか)の存在が想定されたが、採用されたのは、もっと地に足のついた技術だった。

すなわち緩衝装置である。
緩衝装置の原理を簡単に言えば、ふかふかクッションである。Gに応じて沈み込むことでGを緩和する。
だが、クッションの厚みには限界があるため、沈みきってしまえば、それ以上、Gを和らげることはできない。

ただし、格闘戦において、同じ方向にGがかかる時間は極小である。であるなら、緩衝装置も意味を持つ。
戦闘機動をコンピュータ支援およびパイロットの入力で先読みしつつ、最適な緩衝を最適な方向で行うために、座席や内壁そのものが変形し、衝撃を吸収する。

「ニュートン力学だって捨てたもんじゃない」とは、設計者の言。

**そして、諸々の… [#pa91dd25]
完成したコクピットは胸殻に納められ、ジョイントや緩衝材で密に覆われて、外部からはその外殻を見ることはかなわなくなった。
納品の前夜、作業に携わった人間達が外殻に残していった落書きを見ることも、もう誰も出来ない。

だが万が一、コクピットが救命カプセルとして単体で動作してしまうような事態になったとき、
その時に初めて顕わになるであろう、そのただの落書きに込められたただの祈りが、ほんのわずかの加護になるかも知れない。
いや、落書きだけではない。
骨格を組み立ているとき、動作実験を繰り返しているとき、外殻の塗装をしながら、スラスターの調整をしながら、いつもみんながつぶやいていた言葉が、きっと雷鳥号のどこかに眠っている。

帰っておいで。どんなときも、2人で、無事に… この国に…
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