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「否、断じて否。我が望むのは避ける、ただそれのみ!」
51208002 とあるビルの一室で
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「よけの心」
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 摂政、青にして紺碧の手の中には、一束の書類があった。その書類の表紙には「[[1203政策]]」とだけ書かれている。表題だけでは理解できないが、これには重大な内容が記されていた。

 この政策、急増するハーフエルフや母子家庭の悲惨な事情を「よける」ために、藩王その人が急遽書き上げた物である。この政策のおかげで、とある職業のご婦人方からは、えらくモテモテとなった藩王だが、それについては明言をよける。

 藩王はかつてこう言った。「よけるためには、まず突っ込むことから!」
かくして藩王は国内、あるいは国外の危機に自ら突っこみ、悲惨な状況を改善、つまり「大問題をよけた」のである。

 海法よけ藩国は、その昔、どこかの国が罰金でパンクしそうだと聞けば、自国だって下手すれば沈みかねないのに、それを顧みず真っ先に資金を投じ、その国の目前に迫る「危機」を「よける」手伝いをした。今でこそよけ藩国は多重債務国と呼ばれるが、それは債務を多重化することで、藩国滅亡を「よけて」もらっているのである。

 藩王はエースでもある。ひとたびエースゲームコールがかかれば危機に突っ込み、知恵を振り絞り、そして最悪の事態を「よけ」、人々を連れ戻す。

 藩王だけではない。魔力/理力不足が原因で、日々の生活に困っていたハーフエルフ達でも使えるよう、道具を作って渡したのは、国民達だ。彼らもまた、隣人の危機に突っ込み、状況を好転させている。困っていたハーフエルフ達に手を差しのばし、困難を「よけて」みせたのだ。

 今、紺碧は書類を読み返しながら思う。この国の誰もが持つ「よけの心」の源とは「優しさ」ではないかと。優しさが姿を変えて「よけの心」の礎となっているのではないかと。その心がある限り、全ての人と手を携えることも可能ではないかと。

 トントン、とドアがノックされる。紺碧が振り向くと、1人の男が執務室内に足を踏み入れた。

「あの~、陛下、今どこにおられるかわかりますでしょうか?ちょっとこちらの書類に決済印を押して欲しいんですが…」
「……そこに置いておいてくれ。私が行って捕まえてくる。…へ~~~い~~~か~~!」

 そして今日も、いつもの1日が始まる。

(青にして紺碧)

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