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※錬金術師の要点
L:錬金術師={
 t:名称=錬金術師(職業)
 t:要点=薬品,ビーカー,難しい古い本
 t:周辺環境=研究室

設定文:
師匠と弟子の会話 文:不離参(錬金術師)
師匠は拳闘士? 文:不離参(錬金術師)
ヨケルド=ヨケーニョの真実 文:蒼のあおひと(錬金術師、魔法使い、理力建築士)
その男、イセール=ヨケハンブラ 文:青にして紺碧(魔法使い、錬金術師、理力建築士)
タイトル未定 文:りゅうへんげ(錬金術師)

イラスト:
研究にいそしむ師匠/総名代佐佑介(錬金術師)
わしゃそんなにいじめっ子じゃないんだがのぅ、と研究をしながらのたまう師匠/総名代佐佑介(錬金術師)
「ヨケルドの一生」よりヨケルド=ヨケーニョの肖像画/蒼のあおひと(錬金術師、魔法使い、理力使い)


師匠と弟子の会話 文:不離参 †

弟子:師匠、錬金術とは何でしょう?
錬金術師:科学から見て、昔の技術だな。そうある意味マッドサイエンティストの親戚みたいなものだ。向こうは科学の最先端だが。
弟子:マッドの親戚って…。
錬金術師:まあまて。我々が錬金術で神に近づこうとしているのと。彼らが科学で神をつくろうとするのと。視点が違うが目指しているのは、人の幸せだ違うかね?
弟子:非常識のやりすぎは日常から外れて不幸です。
錬金術師:そうだな。それでも大事なものをもっている人には、必要だったりする。自分の持てる、全てをもってしても、手に入れたい何かがな。そこら辺は倫理の問題になる。
弟子:やれるからといってやって良いのか。技術には常につきまといますね。何でも在り(自由)に、どうルール(制限)をつけるか。
錬金術師:神が自分に似せて人を作ったように。人が人間をつくろうとする。人が神に近づくために。でもそれは、人が神をつくろうとするのとどう違うのだろうと思わんか?神の座に人間がつく。愚かな考えかもしれないが、親心とはそういうものかもしれん。
弟子:錬金術に親心が必要ということですか。
錬金術師:まあ、もともと在るものを、自力で再現しようとしてるからな。
弟子:在るものですか無いものではなくて。
錬金術師:そうだな…、魂の練成も賢者の石ももとから在るものの再現だ…。そこがTLOの境界かもしれない…。そこら辺は、神話と心理学の領域になるかもしれんがな…。
弟子:TLOですか…。
錬金術師:まずは、我々に出来ることを探そう。最初は、墨焼き小屋でも作るか?
弟子:結局そこからですか…。
錬金術師:なにそのうち、やれることは増えてくるさ。若いお嬢さんが、魔術と錬金術を融合させると、意気込んでたからな…。
弟子:混ぜたら危ないんじゃないですか…?
錬金術師:やりかた次第だな…。心の問題だ。リューンには心がある。殺すのに心はいらない。自由に制限をつけるには…、守るのには心がいる。そういうことだと私は思っている。
弟子:心ですか…。
錬金術師:…お前も婚期逃したなんて言って無いで、好きな人でも探したらどうだ…。空っぽよりは良いと思うぞ?
弟子:って、頭がですか?
錬金術師:いや、心がだよ…。研究材料調達に行って来てくれるか?よけ鉄の川から砂鉄でも採取して来てくれ。
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(研究にいそしむ師匠/総名代佐佑介)

師匠は拳闘士?文:不離参 †

「助けて~!毎日、毎日、研究、研究!死ぬ~!死んでしまう~!」
と軽やかに研究を続ける弟子A。
「確かに…。錬金術の研究が本分でも、ちょっとハードだよね、うちの研究室…。」
とこちらも、黙々と資料のまとめを続ける弟子B。
「ちょっとどころじゃないよ!研究室って言うより、拳究室だよ!議論したら拳で語るようなものだよ!師匠無敵!」
「確かに研王様(誤植では無い)強いのは分かるけど、ここの研究室選らんだの俺たちだぞ…。」
この錬金術研究室は、錬金術師仲間でも最狂(誤植では無い)とうたわれる所である。師にあたる錬金術師は腕は確かなのだが、研究量が半端ではないのだ。日々これ研究といった感じである。議論なんかすると生き生きして手がつけられなくなる。
「隣町の師匠は、『俺だったらあんな厳しいとこ入らないぞ。』って言ってた!」
「隣町の工房持ちの高弟は、『君らも大変だな…。私、研究成果の発表の前は、怖くてここに近寄れないよ。議論したら穴が見つかるから。』って言ってた…。」
暫し重苦しい空気が流れる。
「まあ…。研究がちゃんと研究の形になるから良いんだけどね。」
「そうだな、頭悪いなりに、しっかりした研究成果の発表出来るからな…。俺たち。」
気をとりなおして、議論ようの、資料をまとめる二人。その時、遠くから聞こえてくる足音…。
「この闘気!師匠が来る!瞬殺されないように、気をつけろ!」
「気をつけたって大変だけどな…。」
はたして二人に明日はあるのか?

その後…。
「研究根底から覆らなくて良かった!」
「俺やられるかと思ったけど、なんとか避けられた…。」
「早く工房持ちになって、働きたいな!」
「それは、同意する…。」
叩きのめされても、フォローはちゃんといれてくれるので、なんだかんだ言って、良い師匠に恵まれたことに感謝する二人だった。
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(わしゃそんなにいじめっ子じゃないんだがのぅ、と研究をしながらのたまう師匠/総名代佐佑介)

ヨケルド=ヨケーニョの真実 文:蒼のあおひと †

ヨケルド=ヨケーニョ。
稀代の天才、全ての錬金術師の祖と呼ばれた一人の女性がいた。
彼女が生成に成功したヨケルドの水なくしては、海法よけ藩国の変換プラントのうち錬金工房計画は頓挫していただろう。
数々の栄誉や名声を得た彼女だったが、その素顔を知るものは意外と少ない。

~ルイド・オカ著「ヨケルドの一生」より抜粋~

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(「ヨケルドの一生」よりヨケルド=ヨケーニョの肖像画/蒼のあおひと)

/*/

「ヨケルド様~、いくらなんでもそれは危険ですよぅ~」
海法よけ藩国の首都、人通りの多い賑やかな街角に今日も情けない男の声が響いた。
様付けで呼ばれた少女は無情にもぴしゃりと彼の言葉をぶったぎる。
「セージ、うるさい」
ここはヨケルドが研究のために構えた研究室…もとい、錬金工房。
こういった研究は山奥で人目につかないようにこっそりひっそり行うというイメージがあるのだが、彼女曰く交通の便が悪いところで生活していると日用品を買いに行くにもわざわざ人里に下りなければならず、その分の時間が勿体無いそうだ。
なるほど、言われてみれば合理的な気もしないでもない。
しかし政庁へと繋がるメインストリートの一角に工房を構えられる辺り、彼女の血筋のよさをうかがわせる。
ヨケルドはこの国の中でも古くからある魔法使いの家系なのだ。
魔法使いなのに古くから伝わるってどういうことだと思われるかもしれないがそこはそれ。
代々良心の呵責と周囲からの殺意の混じった視線に耐えながら生きてきたのである。
しかしヨケルドは由緒ある血統にもかかわらず、幼少の頃から自分は錬金術師だと名乗ってきた。
よく言えばまだ誰もやった事の無い事を成功させてやろうという、この国らしいフロンティア精神にあふるる意欲に満ちた前向きな女性。
だが実際はいき遅れなんてごめんだ、なのだった。
彼女ほどの美少女がいき遅れだの婚期を逃しただの言われるのはやはり屈辱なのだろう。
ヨケルド、多感なお年頃なのである。
「だからってそれは混ぜちゃいけない薬品同士だって、取扱説明書にも書いてあるじゃないですか~っ」
「セージ…………」
説得が効いたのか、ヨケルドは神妙な面持ちで手にしていたビーカーを置く…と見せかけ安心してセージが離れた隙に再度錬金窯へ投入し、混ぜ合わせようと試みる。
「だーかーらーーーー!!!!」
それを見たセージがまた慌てて後ろから羽交い絞めにする。
先ほどからこの繰り返しである。
「いいこと、セージ。弾幕に突っ込まなければ、避ける事すら出来ないのよっ!!!」
実は彼女、かなり敬虔な攻的避け思想アインバッハ派なのだ。
後ろから大の男に羽交い絞めされているにもかかわらず、ヨケルドは両手に持ったビーカーを徐々に傾けていきついに混ぜあわせることに成功した。
セージの制止もむなしく見るからに毒々しそうな色をしていたその液体は、錬金窯の中で混ざり合うと怪しい輝きを発し始め…

ちゅどーーーーーーーーん

今日もヨケルドの工房からは爆音とカラフルな煙が立ち昇ったのである。

/*/

ヨケルドとセージ。何もかも正反対の二人は近所でも評判のコンビだった。
曰く、兄と妹。女王様と小間使い。見ようによっては恋人同士に見えないでもないのだが、ヨケルドは頑として特に恋人同士の説を否定していた。
彼女に言わせると、セージはただの助手ということになる。
助手と言ってしまうにはいささか使いっ走りをさせすぎだと思わないでもなかったが。
そんな小間使い…もとい、助手のセージは暇そうにしながら声をかけた。
「ヨケルド様、ちょっと聞いてもいいですか?」
「なに」
「錬金術師ってなんですか?」
小難しそうな古い本のページをめくっていた彼女は、あまりにもあんまりな質問に思わずずっこけそうになる。
「あんた…錬金術師の助手やっててその質問はどうなのよ…」
「え、だって、この国には錬金術師って職業はないじゃないですか」
「ないわけじゃないわ」
そう、海法よけ藩国にも少なからず錬金術師は存在する。
だがそれが正式な職業と認めれられていないのは、単に彼らが成果を挙げていないからだ。
成果を挙げられず、成果を挙げる見込みも見られない、そんな職業。
この国で錬金術師といえば、金持ちの道楽と同義なのである。
「今は認められていなくとも、必ず私が認めさせてみせるわ。私は他の道楽者とは違うの。錬金術をそれだけとして考えてはいないわ。
だからあんたも周りの言うことなんて気にしなくて構わないわよ。お嬢様の気まぐれと陰口を叩かれていようと、私は気にしないから」
「…あ……あはは…。バレてましたか」
「バレバレね。第一セージは周りを気にしすぎ」
「す、すみません…」
先ほどからヨケルドは魔術書に視線を落としたままだが、その声音がほんの少しだけやわらかくなった気がした。
「あ、ついでに他にも聞いてみていいですか?」
「好きになさい」
「さっきヨケルド様は「錬金術をそれだけとして考えていない」とおっしゃってましたけれど、それってどういうことなんです?」
「私は錬金術と魔術の融合を考えているの」
「ゆう、ごう…?」
セージはどうもピンとこなかったようだ。
元々錬金術どころか魔術にも詳しくはない彼には、融合と言われても全く訳のわからない次元の違う世界の話なのだろう。
「元々魔術と錬金術って言うのは全く別のものなのね」
ヨケルドは席を立って部屋の中を歩きながらとつとつと語り始める。
その姿は神秘的な雰囲気も相まって、どこか別の世界の住人のようにも見えた。
「私たちが普段接している魔法って言うのはとても便利な力よ。でも、便利だけれど使っている私たち自身も分かっていないところが多々あるわ。
使用者自身が分かってないから、口で説明するのはちょっと難しいんだけれど…」
そこで一旦言葉を区切ると、彼女は考えをまとめながら話しているのか小首をかしげて言葉を続ける。
「通常目に見えないけれどそこに存在しているリューンという存在にお願いをして、その力を貸してもらっている…と言ったらいいのかしら。
呪文を唱えたり、魔方陣を使っているのはその「お願い」を形にしているの」
「そのお願いはしなきゃいけないんですか?」
「ええ、必ず」
セージの口から出た疑問は、魔法を全く知らない者からしたら至極当然の疑問。
だがそれは、魔法使いにとっては最もしてはならないことだった。
ヨケルドは神妙な面持ちで厳かに告げる。
「誰だって無理やり言うことは聞かされたくないでしょう?
無理に力を使ってリューンを従わせようとすると、手痛いしっぺ返しをくらう事になるわ。
リューンは私たちの家来ではない。そうね…私は友達になりたいと思ってるけれど、なかなか難しいわね。
魔術って言うのはリューンありきなの。そしてとても不安定で不確かで…未知の技術と言ったところかしら。ここまではいい?」
そう言うと、彼女はほんのりと照れくさそうに苦笑いを浮かべた。
そんないつもとは違う雰囲気に見惚れている事を悟られまいとしてか、セージはいつも以上に元気な返事をする。
「はっ、はい、大丈夫ですっ!ちゃんと僕でも理解できましたっ!!」
「そ、ならいいわ。じゃあ次は錬金術ね」
ヨケルドはそんなセージの様子を気に留めることもなく、こほんと一つ咳払いをしてまた説明に戻った。
「錬金術は言ってしまえば化学変化ね。一定の正しい手順を踏めば必ず同じ結果になる。
例えば水を沸騰させたら蒸気になるわよね?これは何度やっても同じ。水を温めて氷になることはないわ。
そうした化学反応に基づく化学変化の積み重ねで様々なものを変化させて作り出そうというのが一般的な錬金術かしら」
「なるほどー。じゃあ、落ち葉を集めてそれをお金にとか…っ!」
「は?あんた何言ってるの。錬金術でそんな事できる訳ないじゃない。どうやったら化学変化で落ち葉を金に変えられるって言うのよ」
ヨケルド、セージのロマンに満ちた意見をばっさりと切り捨てる。容赦がない。彼女は変なところで醒めていた。
セージ、思わずしょぼーんである。
「やっぱり…無理ですよね…」
「確かに無理ね。………普通の錬金術じゃ」
「え…普通って?」
「さっき言ったでしょう?魔術と錬金術の融合を考えているって。普通の錬金術じゃそんなことできやしないわ。
でもそこに魔法の力を加えたら?未知の力と合わさったときに何が起こるかは、誰にもわからない」
「じゃあそれで金を作ることも…っ!」
「私が考えてるのは木材から燃料を作ることだけれどね…着眼点も理論も悪くはないと思うわよ」
「へー、凄いんですねーっ!」
「当然よ」
純粋にきらきらと瞳を輝かせながら、セージは称賛の眼差しでヨケルドを見つめた。
ヨケルド、ちょっと嬉しそう。自慢げに無い胸を張っている。
だがそんな微笑ましい空気も、続くセージの言葉で全て台無しになった。
「でも、上手く行ってないんですよね?」
途端室内の温度が下がった。ヨケルドの体から静かな怒りのオーラがこれでもかと噴出しているが、セージは全く気づいていない。
それどころか邪気なく「やっぱりそんな簡単には行きませんよねー」などと笑っていた。
この鈍感さが致命的だった。
ヨケルドの口からドスのきいた低い声が漏れる。
「……………セージ。急にマンドラゴラが必要になったわ。それもこの国に生息する避けマンドラゴラが。えぇ、今すぐ必要よ」
「えーーーーーーっ!!?そんな、どこにあるかも分からないのにー」
セージ、凄く不満そう。そんな事を言っている場合ではないのだが、全く危機感を感じていない。
「よけ森に生えてるはずだから…………多分ね」
「ちょ、その最後にぼそっと付け足した言葉はなんですかっ!!」
「あ、一日一回は瞑想通信で連絡よこしなさいよ。一応あんたは私の助手ってことになってるんだから。私にも監督義務ってものがあるわ」
「いやいやいや、なんかもう僕が取りに行くのが前提みたいに話されてますけれど、そもそもヨケルド様そんなものつかった研究したことないじゃないですかっ!僕見たことありませんよ!?」
「必要なの。使うの。私が使うといったらそれがいるの。だからあなたが取りに行くんでしょ?」
「そんなの無理ですって!あるかすらわからないものを…」
「取りに行ってくれるのよね?」
「あの森の奥はなんか近寄りがたい雰囲気ですしっ、無理ですよ無茶ですよ無謀ですよっ!!」
「取りに行きなさい、セージ」
満面の笑みできっぱりと言い切られる。
その笑顔からは反論を許さない威圧感が漂っている。そもそも顔は笑っているが目の奥はこれっぽっちも笑っていない。
ヨケルドの本気を悟ったセージはがっくりと肩を落として「はい…」と答えるしかなかった。
己が身に降りかかる不幸を呪いながらあるかすら分からない避けマンドラゴラを探しに避け森へと向かった彼からの連絡が途絶えたのは、その直後だった。

三日後にはへろへろになりながらなんとか戻ってきたのだが、迎えたヨケルドは顔を真っ赤にして怒り散らしこってりとしぼられたらしい。
森に入るなり不思議な霧に包まれて瞑想通信を何度送ろうとしても送れなかったといういい訳すら聞いてもらえなかった。
それどころか避けマンドラゴラも持って帰ってこれないとは何たる無能と罵倒されて、反省文を100枚もかかされたそうだ。
泣きっ面に蜂とはまさにこのことである。
だがセージからの連絡が途絶えた三日間、ヨケルドがなぜかそわそわしていたり実験を行えば彼女らしからぬ凡ミスで盛大に失敗しと、ご近所さんからは生温かい目で見られていた事は付記しておこう。

/*/

「あぁもうどうしてうまく行かないのっ!!」
ガシャーン!!
その日、ヨケルドの機嫌は最高に悪かった。
手当たりしだい工房の道具を床に叩きつけ、その後ろをおろおろしながらセージがついていく。勿論ヨケルドに砕かれた道具類を片付けながら、である。
「理論は間違ってないわ!手順も、図面も、展開する魔方陣も完璧!用意した材料だって超一級品だし出来上がった溶液だってこれ以上ないってほどの出来栄えだわ!なのに…なのにどうして結果が出ないのよっ!!」
ヨケルドはたまたま手に触れたフラスコをつかむと、そのまま近くの壁に思い切り投げつける。
粉々に砕け散った破片は辺りに飛び散り運の悪いことにそのうちの一つがヨケルドの頬をかすめていった。
これに慌てたのはセージである。彼は血相を変えてヨケルドに詰め寄った。
「だだだ、だ、大丈夫ですかああああああああああっ!!!!!」
「………………うるさい。ちょっとかすめただけよ」
彼女が怪我をしたのは自業自得なのだが、機嫌は坂道を転げ落ちるがごとく悪くなっていく。これがただの八つ当たりだと自覚しているから尚更だ。
セージの慌てぶりに少し落ち着いたのか暴れることはなくなったが、椅子に座ったまま憮然としている。
その雰囲気に気圧されてかセージも口を噤んで所在なさげに部屋の隅で佇んでいた。
二人の間に重い沈黙が下りる。
この空気に耐えられず先に沈黙を破ったのは、意外にもヨケルドの方だった。
「…なんで結果が安定しないのよ…」
彼女は拗ねたようにぽつりとつぶやく。
「木材も、岩石も、腐葉土も、水も、薬草も、全て全国から取り寄せたのに…なんで失敗作しか出来ないのよ」
ふてくされた彼女の視線の先には灰や砂の塊、言葉では言い表せない奇妙な物質、ゲル状の蠢く物体に強烈な異臭を放つものまでさまざまな失敗作が転がっていた。
「燃料を生み出す理論は間違ってないのに…どうしてうまくいかないのよ。練成結果も安定しない…」
独り言のようにぶつぶつと言いながら、ヨケルドはそのまま思考の海へと身を投げる。
認めたくはないがこの練成は失敗だった。
望むものが出来上がらなくても練成結果が安定していればまだいい。どこで理論と練成が離れていったのか解析が出来る。
解析が出来ればそれをもとに正しい方向へ進むことも出来るし失敗した練成も何か別のことに使えるかもしれない。
だが今回の練成結果はまったく安定しなかった。
今までも黒焦げの物体が出来たり爆発した事は多々あったが、いくら魔術との融合を目指したもうワンステップ上の練成とはいえここまで安定しないのも珍しいだろう。
ヨケルド自身、この試みがそう簡単にうまくいくとは思っていなかったが、これはいくらなんでも予想外だ。
確かに練成途中で失敗するだろうと気づいてはいた。手ごたえが違ったのだ。
一級品を揃えていたし、品質にはなんら問題がない。だが何かが違う。
用意したもの一つ一つがほんの僅かずつずれ、それが致命的な歪へと変貌している。
「はぁ……」
ヨケルドはこの日、何度目かすらわからなくなったため息をこぼした。
「練成は中止ね…」
「中止、ですか…」
その言葉に隅っこにいたセージががっくりと肩を落とす。その様子にヨケルドは思わず苦笑いを浮かべた。
「どうしてあんたが残念そうなのよ」
苦笑いでも笑みにはかわりがない。一度笑って調子を取り戻してきたのか、彼女は勢いをつけて椅子から立ち上がった。
「続けたくても材料がないしね。取り寄せるにしたって時間がかかるし」
「じゃ、じゃあ、この国のもので代用して練成するって言うのはどうでしょうか!それにその、材料をかえることで気分転換になるかもしれませんしっ」
なにを馬鹿な…と言いかけて、ヨケルドは押し黙った。
気晴らしをするつもりはないが、材料を変えてみるのはいいかもしれない。
手近なメモ用紙に必要なものを書き出すと、それをセージに押し付けた。
「これ、採ってきてちょうだい。私はよけ河の上流まで行ってくるわ」
「ヨケルド様…っ!」
メモを渡されたセージの顔がぱぁっと輝く。ヨケルドに用事をつかわされた事は勿論嬉しいのだが、それ以上に彼女が自分の意見を聞き入れてくれたのが何よりも嬉しかったのだ。
そんなセージの思いに気づいたのか、ヨケルドはこれ以上ないというほど渋い顔になった。
「勘違いしないでちょうだい、別に気晴らしをするつもりなんかないんだから。同じ材料でも産地が違えば微妙に成分も違うだろうし、それで練成結果も少しは変わるはず。その結果を抽出、比較すれば何かわかるかもしれないし新しい発想のヒントになるかもしれないとか、ちょっとそう思っただけよ!!」
言っていてなんだか言い訳がましいと自分でも気づいたのだろう。
何を言っているのか聞き取りづらいほど早口でまくし立てると、水を汲みにさっさと出て行ってしまった。

数時間後、目の前に取り揃えられた材料を見て、ヨケルドは心底驚いていた。
この国が自然豊かで錬金術で使用する材料に事欠かないのは知っていたけれど、まさかこれほどまでの良品が手に入るとは…。
特にこの腐葉土は最高だった。
ヨケルドは指で触れるとしっとりと馴染んでくる感覚に目を細めた。
「こんなにいい土がこの国でも採れるなんて…」
「避け森の土はいいですよ!入り口周辺はまぁそこそこって感じなんですけれど、少し奥に進んだだけで良品質の黒土が手に入るんです!」
セージはまるで自分の事のように自慢げに話していた。そういえば彼は暇ができると避け森へ向かっていた。
自らの憩いの場でもある森の土でヨケルドが感嘆のため息を漏らしたのが相当嬉しかったに違いない。
そんなセージを見てヨケルドは上機嫌そうに笑みをこぼすと、揃えられた材料を一つずつ慎重に量りはじめた。
その様子をセージが興味深げにのぞきこんで見ている。
「やっぱり、グラム数はきっちり量らないといけないんですか?」
集中を乱さないように気をつかっているのか、やや控えめな声でたずねてきた。
「ええ、コンマ以下のグラム数が変わるだけでも品質は雲泥の差よ。調合にも勿論気をつかうけれど、これにも相当神経をすり減らされるわね。良質のものを作りたいのならばなおさら」
答えながらもヨケルドの手は忙しそうに動いていた。
錬金窯によけ河から汲んできた清水を入れて火にかけ、特製温度計の数値が70℃を指し示した時、手早く黒土を投入。
大きなへらで丹念にかき回しながら水と土が満遍なく混じり合った頃合を見計らって、今度は薬品で溶かした避け山の岩石を入れる。
途端にツンとした刺激臭が広がりどろりとした液体から練成反応を示す小さな泡が立ち始めた。
その泡が徐々に大きくなっていきヨケオオテントウムシサイズになった時にすかさず火を止め、反応を固着させる保存液を素早く流し込んだ。
額に汗を浮かばせながら混ぜ続け、窯の中身がわずかに赤みがかってきたらようやく手を止めへらを引き抜く。
そのまま液体を見つめる事20分。さらにセージがヨケルドの真剣な眼差しに見惚れること10分。
見る角度によって色を変える、ほんのり桜色に色づいた上澄み液を慎重に採取する。
これで実験の核となる溶液は完成した。
ヨケルドはそのまま短い杖を掴むと部屋の中央に立つ。
「セージ、木」
「ヨ、ヨケルド様…少しお休みになられた方が…」
「今、調子がいいの。早く」
セージの心配そうな進言も、ヨケルドの有無を言わせぬ口調の前にばっさりと切り捨てられた。セージは不承不承木材を渡す。
ヨケルドは手渡された木材とビーカーに入れた溶液を一旦足元に置くと、古びた本のとある1ページを開き目を伏せて呪文を唱え始めた。
第一節。足元に大きな魔方陣が広がる。
第二節。周囲に建築図面にも似た小さな魔方陣が展開。
第三節から第八節はリューンへの呼びかけと請願に使い、続く第九節で足元の木とビーカーがふわりと浮いた。
呪文を唱えている間も杖は絶え間なくゆらゆらと揺らめき、本から伸びた光がもつれあうように素材を浮かせている。
そして第十節。まるで意思を持っているかのようにビーカーから出てきた液体は、うねりながら木材を包み込み繊維の一本一本にまで染み渡る。
桜色だった溶液はいまや玉虫色へと変化し、全ての水分が木材に吸収された時…。

ごとり。

鈍い音を立てて木材が足元に落ちた。
いや、その音は明らかに木の立てる音ではなかった。
自然色だったあの色は見る影もなく、硬そうな鋼色の光沢を見せていた。
その練成結果にヨケルドもセージも目を丸くしている。
セージの顔はみるみる輝いていき、ヨケルドは顔を真っ赤にして叫んだ。
「どうして燃料が生成されないのよーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」
怒り心頭といった様子でヨケルドは上澄み液と木材を手に取り再度練成を開始する。
だが何度やっても足元に落ちるのは望んだ黒い液体ではなく、鈍色の塊。
作った上澄みが無くなってしまったヨケルドはへたりこんでうなだれていた。その姿は絶望に染まっている。
「今度はうまくいくと思ったのに…違和感もなくて……なのになんで、理論とは違う結果が出来上がるの…?」
その声はいつにもまして小さく、震えていた。
これに慌てたのはセージである。
弱気なヨケルドなど見たことはなかったし、しかし嫌かといわれればむしろ普段の勝気さがなりを潜めて可愛いしでも別に普段の女王様的態度が嫌いと問われるとむしろそっちの方が好きだと答えてしまうだろうっていやいや僕は何を考えているんだとぐるぐるしていた。
そんな彼の頭に浮かんだ事といえば、元気付けるだけであった。ここまで動揺していて対応が浮かんだだけでも褒めてあげたいくらいだ。
「で、でも、これって凄いことだと思うんです!!」
とりあえずまずはヨケルドの意識をこちらに向けさせようと、セージは大きな声で呼びかけた。
狙い通りのろのろと緩慢な動きながらもヨケルドの視線がこちらに向けられる。
「確かに燃料はできませんでしたけれど、木材から金属を作り出すなんて凄い発見だと思うんですよ!それにまぐれじゃないですよね?何度やっても同じ結果になるんだったら安定してるって事です!」
「そ、そうかしら…」
「そうですっ!!」
しかしこれは失敗なんじゃないかと沸いてくる疑問もセージの威勢のいい一言に吹き飛ばされてしまう。
なにより、無邪気に凄い凄いとはしゃいでいるセージを見ていると、落ち込んでいるのが馬鹿らしくなってくるのだ。
ヨケルドは小さく笑うと椅子に座って仕切りなおす。
「金属ができたのは成功としましょう。予定とは違っていたけれど、結果が安定しているのならそれはそれで喜ばしいことだわ。でも、どうして金属が練成されるかがわからない…」
「……もしかしたら…」
考え込むヨケルドをみてセージはぽつりとつぶやく。見ると視線で続けてとうながされた。
「ほんとにもしかしたらってレベルの話なんですけれど…今回、材料は全部この国のものを使って行いましたよね?だからその…この国が持つよけ力が、本来あるべき練成結果を避けてしまったんじゃないかな…とか……」
言いながらヨケルドの周囲に怒りのオーラが広がっていくのがわかったセージは、だんだんと小声になり最後には悄然とうなだれてしまった。
「ふ……ふざけてる…。もともとこの国は人だけじゃ飽き足らず塔が避けたり森が避けたり国が避けたりと非常識極まりなかったけれど…そんな、自然界の法則すら避けるなんて…」
呆れてものも言えなくなったのか、ヨケルドはそのまま机に突っ伏してしまった。
金属が練成された理由がよけ河や岩石に豊富に含まれている鉄分のせいだと彼女が気づくのは、今から2週間も先のことであった。

その男、イセール=ヨケハンブラ 文:青にして紺碧 †

「な、なんだと……。あの洟垂れ娘のヨケルドが、よけ国民栄誉賞だと……!?」

 工房でお気に入りの番組「ニューストゥエンティフォー」を見ていたイセールは突如立ち上がり、拳を握りしめて全身をぷるぷると震わせた。

「ふざけるな!あんな半人前の小童が栄誉賞など、百年早いわっ!」

イセールは、遠く離れたヨケルドの工房に向かって、届かんばかりの大声を張り上げた。

ニューストゥエンティーフォー※はニュース番組だが、時折コメンテーターも交えた討論も行なっている。今回は、ヨケルド=ヨケーニョが錬金術師として鉄の安定錬成に成功した、という話題を取り上げ、各ジャンルのコメンテーターがそれぞれ評価を語っていた。

※ニューストゥエンティーフォー:アイドレス1時代から、よけ藩国で(国民が自前で原稿を用意して)ニュース番組として放映。最大視聴率は98%というお化け番組(というか、そもそもそれくらいしか藩国には夜の娯楽がない)。実体は「国民へのお知らせ」のような物。

 画面の中では「ヨケルドさん、すごいですよね。あの若さで安定精錬に成功するなんて」と司会の滝川クリスタルが出演者達に話を振っている。画面下には「ヨケルド氏、よけ国民栄誉賞に?」とポーズが表示されている。これを見て、イセールは激怒したのである。更に、彼にとって間の悪いことに、

「これは藩国の産業を大きく変える第一歩です。製鉄に携わっていた職人は今までの重労働から解放されます。もちろん生産量は変わらないわけですから、生活の安定と潤いがもたらされる、ということですね」
「あの若さでこれほどの理論と精錬度なら、栄誉賞を賜るのも時間の問題でしょう」

とコメンテーター達が口々にヨケルドを褒め称える。イセールの怒りは沸点に達した。国民栄誉賞は、その名の通りまさしく国民にとって栄誉の象徴。いかに藩国がその人物を高く評価したか、というバロメーターになる。

「ふざけるな!あんな小娘、そのうち儂が蹴散らしてやるわ!」

 イセール=ヨケハンブラ。職業:魔法使い+錬金術師+理力建築士。ヨケハンブラ家は代々、ヨケーニョ家を(一方的に)ライバル視していた。いずれの家も著名な魔法使いを輩出しているが、世間的評価ではヨケーニョ家>>>ヨケハンブラ家、というのが通例だ。ヨケハンブラ家は微妙にヨケーニョ家に及ばない、と言う評価が何年も積み重なって、いまや両家の世間的評価はここまで離れた。それに加えて、今回のヨケルドの成功が重なり、イセールの額には縦皺が増えた。

ヨケハンブラ家の家訓は「打倒、ヨケーニョ家」。ヨケーニョ家の至宝とも呼ばれるヨケルドが錬金術師を選んだことで、ヨケハンブラ家の当主イセールは、それまでの魔法使い+理力使い+理力建築士を捨て、錬金術師の道に進んだ。少なくともヨケルドよりははるかに年上なのだから、知識も経験も豊富なのだが、いかんせん突飛な方向にアイデアが偏るのが玉に瑕で、だから未だに、鉄でも、またそれ以外でも安定精錬には成功していない。

そもそも彼の考えていたアイデアというのが、理力建築を応用して土からゴーレムを錬成、そこにマッドサイエンティストの特殊である「美人秘書あーんどサイボーグ」と組み合わせ、見た目はウハウハ、その実強い!という、とんでも無人兵器を作ろうとしていたのだ。

彼としては大まじめな研究だった。これが成功すれば、国民をむやみに戦場に送る必要がなくなる、と彼は真剣に考えていた。しかもゴーレムだけど“美人”。ハニートラップでも爆破作戦でもどんと来いの、土さえあればいくらでも製造可能な『国民の命に優しい兵器』。マッドサイエンティストの協力が得られなければ計画が頓挫するのは目に見えていたが、そこは一族を総動員すれば何とかなるだろう、くらいに考えていた。

「むしろこういった人道的な研究の方が、よほど栄誉賞にふさわしいわ!ヨケルド、お前では思いつくまい!わっはっは!」

そう威張ってはみるものの、現実はイセールに厳しかった。

 まず基礎になるゴーレムが錬成できない。いや、できるにはできたのだが、手のひらサイズのゴーレムでは、とてもじゃないが美人兵器や自動攻撃人形にはなり得ない。そもそも、ゴーレムを構成する成分のほとんどが土のため、絶対的に強度が足りない。ヨケルドの鉄の精錬を応用すればあるいは、とも考えたが、2秒後に彼は首を横に振った。

「だめだだめだだめだ!あんな小娘に遅れを取る儂ではない!今に見てろよ、ヨケルドめ、ヨケーニョ家め……」

 もう一度だ。もう一度最初からやってみよう。
彼は庭に出るとスコップでそこら中を掘り返し、少し離れた場所にある魔法陣の中央に、掘り返した土を積み上げる。そして、詠唱しながら心の中でゴーレムの形をイメージし、組み上げていく。このあたりは理力建築と変わらない。更に、魔法陣にゴーレムの“意志”の核となる水晶を落とし、自らの魔力を注ぎ込む。やがて土は人型の足になり、胴になり、腕になり、頭ができあがった。しかし、掘り返した土の量に反比例するかのように、できあがったゴーレムは小さかった。さっきより土は多く使った。それなのに、さっき作ったゴーレムと同じサイズしかできないなんて……。

 なぜだ。何が悪いんだ。
イセールはうなだれながら工房に戻ると、画面の中ではなおもヨケルドへの賛辞が続いていた。それを見つめながらぎりぎりと歯ぎしりするイセール。その手の中から、握りしめて土塊に還った元ゴーレム、だったものがこぼれ落ちていった。

そして時が経つことx年。「ヨケルドの一生」という本は出版されたが、ヨケハンブラ家の名を冠した本は未だ出版されていない。

タイトル未定 文:りゅうへんげ †

理力使いA:「なぁなぁ、今度錬金術で生物資源の加工工場作るんだって?」
理力使いB:「ああ、なんでも魔法使いの就職対策らしいぜ?」
理力使いA:「え、魔法使いって、就職すんの?」
理力使いB:「……(こいつ今までどうやって生活してたんだ?)」
/*/
 今回、海法よけ藩国では錬金術師を取ることになった。
まず、錬金術の工場を作る計画があって、その役に立ちそうだから、
いくつもの取得アイドレス候補の中からダイスで決められたのだ。
 ええと、よけ藩国に於いてダイスで次のアイドレスを決めるのはいつもの事である。
人数も意見も多い中で不和を避けるための、優れた手法であった。

 ともあれ、錬金術師である。
布告はだされ、錬金術の開発が始まった。
方法は、公共事業式となった。広く国内から手法を集め、良さそうな物に予算を与えて作らせる方式である。
短期間で様々なアイデアが集まる優位性があるが、なにより予算を与える前にチェックする事で、
不慮の事故を避ける事が目的で選ばれた。
/*/
理力使いA改め研究員A:「で、具体的には俺達何すりゃいいの?」
理力使いB改め研究員B:「ん~錬金術って言う位だから、鉛から金を作りゃいいんじゃね?」
研究員A:「はっはっは、馬鹿だなぁ、鉛から金は出来ないよ。
      原子っていうのが違うって、先生言ってた」
研究員B:「(コイツからだけは馬鹿よばわりされたくねぇなぁ…ま、いっか)
      いやいや、そうでもないぜ?」
研究員A:「え~、無理だろ~?」
研究員B:「いいか、原子は陽子と電子と中性子から出来ていてな…」
研究員A:「いや俺、難しい話分かんないし」
研究員B:「(こいつ…)まぁ、これ読め」
【参考文献・今、理学部が面白い(http://ha2.seikyou.ne.jp/home/Kiyoshi.Shiraishi/lec/QGP.html)】
研究員A:「ええと、良く分かんないけど、無断リンクって不味いんじゃ…」
研究員B:「大丈夫。全ページリンク自由って書いてあった」
【理論物理学仮想研究所トップページ(http://ha2.seikyou.ne.jp/home/Kiyoshi.Shiraishi/index.html)】
研究員A:「すげえ。ふとっぱらだな!」
研究員B:「ああ、見つけたとき、ちょっと感動した」
/*/
 原子は原子核と電子からなり、原子核は陽子と中性子からなります。
原子は陽子の数によってなんの原子かがきまります。
(中性子が付くと同位体という物になりますが、元素記号は変わらないそうです)
 ポイントは、陽子に種別が無いことで、これは単純に陽子の数を合わせれば、
その原子になる事を意味しています。
具体的には鉛の陽子数と金の陽子数の最小公倍数を出して、その数の鉛原子を分解し、
金原子になるように調整して融合させる事で鉛は金に変わります。
 最新の科学では、鉛は金へと変わる。
つまり、源初の科学者であった錬金術師は、最新の科学者でもあるわけです。
 勿論、原子核の融合や分解にはもの凄いエネルギーが必要ですし、
陽子の融合をきちんとコントロール方法はまだ確立されていないのですが。
/*/
研究員A:「読んだ。でもこれ、凄いエネルギーがいるじゃん。一兆度の火の玉がいるんだろ?」
研究員B:「(宇宙恐竜かよ…)ああ。科学でやればな」
研究員A:「駄目じゃん」
研究員B:「まぁまて。俺達は理力使いだ。位置の交換は魔法の基本だろう?」
研究員A:「いやまぁ、それはそうだけど」
研究員B:「等価交換は錬金術の基礎だとTVも言ってた」
研究員A:「あ、それ聞いた事ある」
研究員B:「静的に物質操作できれば、そんなにエネルギーもかからないしな」
研究員A:「ほんとにそんなこと出来んの?」
研究員B:「任せろ!…ただ、ここから先は政庁に企画を通してからになるけどな」
/*/
摂政:「次ですが、錬金術関連ではこんなレポートが来てます」
藩王:「却下で」
摂政:「ええと。理由をお聞きしても宜しいでしょうか?」
藩王:「んー、今のままだと、資源を資金に変換だよね?
    資金は頑張れば何とかなる。欲しいのは資源だ。いまのままかあべこべだよ。だから却下」
摂政:「なるほどー」
藩王:「あ、でも、科学の応用から入ったのは良いね。
    今回のは使えないけど、発想はいい線いってるから頑張ってって伝えてあげて」
摂政:「かしこまりました」
/*/
研究員A:「いやぁ、駄目だったなぁ」
研究員B:「錬金術といえばこれだと思うんだが…まぁ、国の事情を考えてなかったのは失敗だったか」
研究員A:「ええと、資源が資金じゃ駄目なんだろ?」
研究員B:「ああ、求められてるのは、生物資源を資源に、だそうだ」
研究員A:「なら俺、いい考えがあるぜ?」
研究員B:「いい考え?」
研究員A:「ああ。つまり欲しいのは装甲材じゃん?
      なら金属じゃなくて、そうだな…例えば織物が装甲になれば良いわけだ」
研究員B:「それが出来たら誰も苦労してないと思うぞ?」
研究員A:「みんな頭が固いんだよ。精霊回路使えば良いじゃん」
研究員B:「ん。絶対物理防御のことか?」
研究員A:「それそれ、たぶん。
      ちょっと高く付きそうだけど、回路のところだけ真銀の糸を使ってさ」
研究員B:「行けそう、ではあるか…」
研究員A:「だろだろ?じゃあさっそく提出な!」
研究員B:「(なーんか、忘れてる気がするんだよな…)」
/*/
摂政:「陛下、この様な企画が上がって来ましたが…これは…」
藩王:「却下で」
摂政:「ですよねー」
藩王:「うん。前にNWCで話した警告がでてるアドレスとか、教えてあげて」
摂政:「了解致しました」
/*/
 無名世界観には、名前を言ってはいけないあの人が存在する。
力が強いものは、それに融合されやすいという性質があり、
特に心を持たない高評価の物は危ないとされている。
【参考文献・小笠原天気予報より、海法さんの警告
 リューンの意思を無視したこのプランが撥ねられたのは、当然の事だった。
/*/
研究員A:「いやぁ、すげぇおこられたなぁ」
研究員B:「あー…、そうだよ!前に読んだのに、なんで忘れてたんだ俺…」
研究員A:「まぁまぁ、そう落ち込むなって。危ないのよけれて、良かったじゃん」
研究員B:「とは言ってもなぁ…」
研究員A:「(こいつ…意外とうたれ弱いな)あー、で、どうする?」
研究員B:「どうするって、何を?」
研究員A:「あー…なんだろう?そもそも、何してたんだっけ?」
研究員B:「錬金術の開発だろう?」
研究員A:「なんのために?」
研究員B:「魔法使いが活躍する仕事を作って産業を復活させるのと、出来れば資源が欲しいからだと思う。
      レムーリアは帝国領だし、共和国にはなにより資源が足りない」
研究員A:「じゃあ、魔法で資源を掘り出す方法を考えればいいんだ。なんかない?」
研究員B:「なんかって言ってもな…、錬金術は無から有を作り出すものじゃないんだ」
研究員A:「じゃあ、魔法は?」
研究員B:「詠唱戦といって攻撃に使う。
      ええと、アラダの人達は魔法で色んな事が出来るけど、それは絶技と言って、区別されてる」
研究員A:「攻撃だけ?」
研究員B:「あ、いやまて。一度だけ攻撃以外の利用方法を読んだことがあるな。テンダイスだ」
研究員A:「それどんなの?」
/*/
 理力とは、最近の生活ゲームによると、
理という、脳内の回路みたいなものを使って瞬間的に効果を発動する物の様です。
また、魔法使い等が使うのも、詠唱戦という同じ言葉で表示されているので原則的に同じ物の様です。
 ルール上は攻撃にしか使えない理力ですが、
I=Dのエンジンが理力で動く等、次々と新しい事実が解って来ています。
【参考文献・アイドレスQAデータベースより】
 また、テンダイスに載ったゲームで、
ACE八神少年が理力を使って妖星号らしいロボットを作るシーンがありました。
【ゲーム結果:八神少年の救出
 なので、理力は土から必要元素を選別して取り出し、
予め決められた形に再構成する事が出来るようです。
/*/
研究員B:「というわけだ」
研究員A:「へえ、凄いじゃん」
研究員B:「とはいえ、土の中から何かを持ち上げるだけじゃなあ…」
研究員A:「いやいや。土から鉄だけ掘り出せるんだろ?楽勝じゃん」
研究員B:「土の中からっていっても、鉱脈でもない限り、まばら過ぎて量が取れないだろう?」
研究員A:「あ、駄目なの?なんだ、魔法だ理力だってもたいしたこと無いね」
研究員B:「む、そう言われると腹立つな…
      (要は、まとまった鉱物のまとまりがあればいいんだよな。メッキでも何でも、分離して集められるわけだし)」
研究員B:「・・・・・・そうか、避け河だ!」
研究員A:「なにそれ?」
研究員B:「よけ藩国には避け河があった!」
研究員A:「(とうとう壊れた?)」
/*/
 避け河とは、海法よけ藩国の設定地形で、要点の鉄の川の事です。
避け鉄が流れているようですが、今まで有効活用された事がなかった事を考えると、
きっと普通に掘ろうとしてもするりと避けるのでしょう。
砂鉄か、あるいは水銀のような液体金属なのかも知れません。
#よけ藩の特産品は、大抵なにか避ける能力を持っているのです。
【参考文献・EV105等用、よけ藩にあるものリスト
 研究員Bは、どうやら避け鉄を特定して引き上げる理力を作成する気の様です。
/*/
研究員B:「これならいける!」
研究員A:「あー、でも大変じゃね?資源で使うなら1キロ2キロじゃないんだろ?」
研究員B:「そうだな。なら、機械の力を使えばいい」
研究員A:「機械って、未婚号?」
研究員B:「いや、資源掘るのに資源使っちゃダメだろう。使うならアレだな。ミチル」
研究員A:「ミチルって何?」
研究員B:「農業機械だ。チルを二個一して作ったから、ちるちるで、ミチル」
【参考文献・農業機械
研究員A:「へぇ、アレってそんな名前だったんだ。
      でも、普通に使っても避け鉄って掘れないんだろ?」
研究員B:「ああ、だから改造する。トラクタービームが撃てるように」
研究員A:「無茶ゆーな!」
研究員B:「無茶なものか、八神少年は地面から物質を持ち上げてたし、出来るはずだ」
研究員A:「ええと、つまりアタッチメントを新規に作って取り替えるんだな。
      川の水と避け鉄とその他の物の中から、避け鉄のみを引き上げるように理力回路組んで、
      エネルギーは農業機械のを使う」
研究員B:「そうそう。なんだ、ちゃんとわかってるじゃないか」
研究員A:「そりゃ、付き合い長いからな…だが、それだと魔法使いしか乗れないんじゃないか?
      誰でも理力使えるようになるのはまずいだろう」
研究員B:「まぁ、そうなるな。アレはもともと未婚号に異世界技術を取り込むためのテストベッドだったんだし、
      本来に機能を取り戻すということで、いいんじゃないか?」
研究員A:「(こいつが調子に乗ると、ろくなことにならないな…)
      ええと、農業用はどうするんだ?農家の人乗れないだろ?」
研究員B:「まぁ、改造するのは全部じゃないし、魔法使いに職を与えるという目的にも適っている。
      そのうち、避けキャベツや避け鳥の卵だけ拾えるアタッチメントを作っても良いかもなぁ」
研究員A:「そ、それは伝統農法が廃れるんじゃ…」
研究員B:「魔法が使えれば素人でもやれるから、収量は上がるだろうけどな…まぁ、効率より大事なものもあるか」
研究員A:「そうそう、わかってるじゃん」
研究員B:「まぁ、とにかく企画書まとめて提出しようか。ボツならまた別のを考えるさ」
研究員A:「(あ、ちょっと前向きになった。難儀なやつだなぁ…ほんと)」
/*/
 数週間後。避け川で試運転が行われた。
新規のアタッチメントを取り付けられた水陸両用ミチルは、うんうん唸りながらも見事避け鉄の引き上げに成功した。
この成功により、研究員AとBは錬金術師へとクラスチェンジした。
森国人+魔法使い+理力使い+理力建築士から、森国人+魔法使い+錬金術師+理力建築士への変化である。
 錬金術の極意とは、様々な秘儀を通して自らの魂、意思を練成して神に近づく事にある。
様々な失敗を経た二人が、それを通して少しでも成長したのであれば、二人は確かに錬金術師であるといえるだろう。
/*/
研究員A改め錬金術師A:「なぁ」
研究員B改め錬金術師B:「なんだ?」
錬金術師A:「俺たち、出世したんだよな」
錬金術師B:「出世とは少々違う気はするが、まぁ、新しいステップへは進んだな」
錬金術師A:「じゃあ、なんで」
錬金術師B:「?」
錬金術師A:「毎日毎日、日の出から日没まで砂鉄を掘ってなきゃいけないんだーっ!!」
茜色に染まる避け河に、今日も錬金術師の声が響き渡った…(めでたしめでたし)。

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Last-modified: 2011-05-21 (土) 06:23:11 (3301d)