この項のまとめ

・枯れた技術で安全重視!
・性能は量で補う!
・環境対策も考えなくちゃね!

テクノロジー

電力と送電

「変形合体太陽電池!」
「いいかげんにしろ!」
──からかわれてるだけである。


 そうして作られたメガフロートには、太陽電池および、太陽電池を支持するアーム、送電・蓄電設備が搭載される。アームは太陽電池を回転・傾斜させ、太陽光に対して最適な角度を保つ働きがある。

 太陽電池の独自設計は、あまり検討されなかった。よけ藩国には素材技術はなく、泥縄で開発するには時間がなかったからだ。

 太陽電池を採用するに当たっては、宇宙施設を持つ関係で太陽電池を利用している玄霧藩国、無名騎士藩国、また早くから太陽エネルギーを活用しているFEGなどに技術協力、助言をお願いしたが、基本的には枯れた技術で、そう特異な性能を持つわけではない(注1)。

 それを補うのは巨大ドックの生産力である。一つ一つの発電効率は、そこまで優れたものではないが、その分、大量に配備することで補うのが、今回のコンセプトである。

 太陽電池で受けた電力は、送電ケーブルで集められ、よけ藩国地下の藩国環状線トンネルを通じてケーブルで本土へ送られる。

 同時に夜間の電気蓄積のために、海水を電気分解し、水素を保存する設備が付属している。電気分解と言っても、塩分を含む海水を単純に電気分解すると塩素が放出され、大気を汚染するため、それを避けて、塩+酸素+水素に分解できるような工夫がこらされている。

 これらの水素をそのまま燃料として輸送したり、水素を化合させることで電気を作ったりすることで、昼夜を通じて安定した電力が供給されることになる。

 コンクリの塊であるメガフロートは安定した構造物だが、太陽電池および各種設備には、それなりのメンテナンスが必要である。海上においては、太陽電池部にこびりついた塩分を除去する必要がある。基本的には真水によるミストシャワーで流し落とすが、様々なメンテナンスについては、無理に自動化せず、人力を併用する予定である。
 太陽光を遮って海洋を暗くすることの環境的な影響については、ある程度、距離を空けてメガフロートを並べることと、必要に応じて位置を動かすことで対応してゆく予定である(注2)。
ライトアップ 明るい未来(拡大)

 これらは、よけ藩国での運用が確立し次第、各国にも輸出予定である。海があれば運用できるし、海でなくても、たとえば西国の砂漠なども理想的な環境だろう。

 NWを悩ます燃料問題、環境問題に対する答えの一つとして、よりよい明日を子孫達に残すための、よけ藩国なりの努力である。